“自分なりの正解”
by 上野隼人
本年度、早稲田大学ゴルフ部副将を務めております、スポーツ科学部4年の上野隼人と申します。言葉では表せられないほどの濃い4年間を振り返りながら、自分が19年間ゴルフを続けてきた理由をお伝えできればなと思います。
1年生
兵庫県で生まれ、高校まで一貫校で育った自分にとって、早稲田大学に入学してから過ごす環境はまさに異世界でした。教室を見渡しても誰1人知り合いもおらず、家に帰っても家族がいない中、家事と部活動と学業をこなす日々でした。部活動では、厳しいルールを覚えながら、トレーニングについていくことに必死でした。家の玄関で寝落ちしたことも今では懐かしい思い出です。関西に残ってた方が良かったのかなと考えた時期もありましたが、1年生から大学の名を背負い、早慶戦やリーグ戦で勝利を収めることができ、後悔から自信へと変わっていきました。
2年生
初心者ながら本気でメンバー入りを目指す中村や、当たり前のようにプロの試合で活躍する中野など、1人1人個性溢れる同期に刺激をもらいながら、自分も必死に練習に励み、日本アマチュアゴルフ選手権に出場することができました。ずっと憧れていた舞台に立つことに喜びを感じながらも、自分はプロを目指せないことを実感しました。みなさんご存知の通り、この大会で優勝したのは同期の中野。彼の優勝を心から祝っていた自分の横で、同期の竹原は、1人悔し涙を流していました。正直、自分は泣けなかったです。でもここがプロに行くやつと行かないやつの差なんだなと。プロにならなかったら、自分は何のために3歳からゴルフを頑張っているのか、その答えを追い求めながら、毎日ゴルフボールを打ってました。
3年生
周りの期待に応えるためにゴルフをしようと決め、嘔吐しながらも必死にトレーニングに耐えました。しかし、迎えた試合では何も結果を残せませんでした。早稲田としては、創部初の日本一を達成した時期でしたが、心の底から喜べませんでした。ただ、この失敗が自分を大きく成長させてくれました。周りの期待に応えるために色々なものを犠牲にしてきましたが、その気持ちが自分の首を締め、消極的になっていることに気付きました。家族や親友から「周りの目や評価を気にせずにもっと自分を好きになってあげろ」と言われ、この瞬間に自分の中で縛られていたものが解け、自然と涙が出てきました。それから、正解は1つではなく、1人1人にあるべきだと考えるようになり、「自分なりの正解」を追い求めるようになりました。そして、10月に副将に任命されました。何も結果を残せなかった自分を選んでいただき、喜びを感じたと同時に自分に何ができるのか不安でいっぱいでした。主将の中野と共にチームの先頭に立ち、自分なりの正解を考えながら、必死にチームをサポートしました。ゴルフは個人スポーツなので、チームが個人主義に傾きやすくなる中で、チームのために必死に協力してくれた同期には本当に感謝しています。
4年生
副将として過ごした日々を通して、ゴルフをする目的が明確になってきました。今までにない感覚でゴルフと向き合うことができ、本当に楽しかったです。たとえ調子が急に悪くなっても、ただ全力でゴルフを楽しむことができました。しかし、自分は副将として、何かチームに残すことはできたのか、リーグ戦で優勝することができず、中途半端な代だったなと思われているかもしれません。ただ、リーグ戦後の最後のミーティングで、部員全員1人1人と本気で向き合いながら話し合い、泣きながら来年からは任せてくださいと言ってくれた後輩や入部したきっかけを作ってくれた先輩に恩返しすると言ってくれた後輩たちの姿を見て、少なからず、何かチームに残せたんだなと思えました。
19年間ゴルフを続けた理由
3歳からゴルフを始め、19年が経ちました。振り返ると楽しい思い出より悔しい思い出の方が遥かに多かったと思います。そんな中でも、自分が最後までゴルフを続けてきた理由は、「自分で歩んできた道を正解にするため」でした。トロフィーを集めるためでもなく、周りの人に祝ってもらうためでもなく、ただ自分自身で選んできた22年間の人生が「正解」だったと言えるために、そのツールとしてゴルフがあったのだと思います。今振り返ると、ゴルフを選んでよかったなと、正解だったなと思います。19年間本気で向き合ってきたからこそ正解だったと言い切れたと思います。長い競技人生は、今年で終わりますが、ここからがスタートです。社会人として、頑張ってきてよかったとまた改めて思える日を目指して、また1から「自分なりの正解」を追い求めたいと思います。
最後に
同期へ
みんなと出会い、ほぼ全ての時間を一緒に過ごし、最高の思い出ができました。本当にありがとう!良い意味でも悪い意味でも個性溢れる同期で、毎日が本当に楽しかったです。社会人になっても、一緒にゴルフして、馬鹿なことたくさんしましょう。これからもよろしくね。
両親へ
本当にお世話になりました。19年間ゴルフを続けられたのは、どんな結果でも受け入れ、笑顔で迎えてくれた両親の存在があったからです。来年からは自分の番です。全力で恩返ししていきます。
後輩、未来の新入生へ
早稲田大学ゴルフ部の良さはなんといっても、チーム力だと思います。1軍、2軍などのチーム分けはなく、全国トップレベルから初心者まで一緒に練習します。他の大学に比べて、飛び抜けた練習環境があるわけではなく、学業も妥協できない環境ですが、だからこそ本気で向き合えるのだと思います。できない理由を考えるのではなく、できる方法を必死に考え、泥臭い早稲田生になって欲しいと思います。これからの活躍を楽しみしております。





次回5人目は、小原力(国教・St.Mary’s International School)です。



